解体工事業の技術者要件に関する経過措置が間もなく終了します。

解体工事業の新設

平成26年(2014年)6月に建設業法が改正され、解体工事業が新設されました。

これまで「とび・土工工事業」の許可を受けていれば解体工事を施工することができましたが、この「解体工事業」の新設により、平成28年6月1日の改正法施行日以降は、原則として解体工事業の許可を受けなければ解体工事を施工することができなくなりました。

解体工事業の技術者要件

解体工事業の新設に伴い技術者(専任技術者、主任技術者など)となることができる資格について、次のように定められました。

特定建設業の専任技術者(監理技術者)

  • 1級土木施工管理技士※
  • 1級建築施工管理技士※
  • 技術士(建設部門または総合技術監理部門(建設))※
  • 主任技術者としての要件を満たす者のうち、元請として4,500万円以上の解体工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

一般建設業の専任技術者(主任技術者)

  • 監理技術者の資格(上記)のいずれか
  • 2級土木施工管理技士(土木)※
  • 2級建築施工管理技士(建築または躯体)※
  • とび技能士(1級)
  • とび技能士(2級)合格後、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
  • 解体工事施工技士

※平成27年度までの合格者については、合格後の解体工事に関する実務経験1年以上か、登録解体工事講習の受講が必要です。

解体工事業の新設に伴う法律上の経過措置 その1

経過措置により、平成28年6月1日の改正法施行日以降でも、改正法施行日時点において、とび・土工工事業の許可を受けている建設業者であれば、引き続き3年間は解体工事業の許可を受けずに解体工事業を施工することができるとされていました。

この経過措置は平成31年5月末までのものでしたので、現在では解体工事業の許可を受けていなければ、解体工事を施工することができません。

解体工事業の許可を受けていない建設業者が解体工事を施工するためには、解体工事業の業種追加をする必要があります。

解体工事業の新設に伴う法律上の経過措置 その2 技術者要件について

令和3年3月31日までは、経過措置によりとび・土工工事の技術者でも解体工事業の技術者とみなすこととされています。

たとえば平成27年度までに合格した2級土木施工管理技士であれば、本来は解体工事業の技術者資格ではありませんので、解体工事業の専任技術者となることはできませんが、経過措置により解体工事業の専任技術者とみなされています。

この経過措置がまもなく終了するため、本来の解体工事業の技術者資格(上記)ではなく、とび・土工工事業の技術者の資格で解体工事業のみなし専任技術者となっている許可業者であれば、本来の解体工事業の技術者資格をもっている方を専任技術者に専任する必要があります。

たとえば上記の平成27年度までに合格した2級土木施工管理技士の資格であれば、登録解体工事の講習を受講することにより解体工事業の専任技術者となれます。3月31日までに登録解体工事の講習を修了したうえで専任技術者の有資格区分の変更届をおこなう必要があります(合格後の1年以上の実務経験を証明するという方法もあります)。

または解体工事業の技術者の資格をお持ちの方に専任技術者を交替するという方法もあります。現時点で解体工事業の講習会の申し込みが完了していなければ期限までに手続きを完了することが難しいので、別の方を見つけることが現実的な方法といえるでしょう。

これらの対応をすることができなければ解体工事業の許可は失効し、再度、許可を取り直さなければなりません。まずは、専任技術者の資格が本来の解体工事業の技術者資格であるかご確認ください。