下取り行為とは|産業廃棄物処理業の許可が不要とされるための4つの条件

「下取り」行為とは
「下取り」とは、新しい商品を販売する際に、同種の製品で使用済みのものを無償で引き取る行為をいいます。
例えば、ガソリンスタンドでタイヤ交換をする際に、新品のタイヤを販売し、それまで使用していた古いタイヤを無償で引き取るような行為が「下取り」に該当します。
下取り行為に廃棄物処理業の許可は必要か
このような下取り行為をおこなう場合、下取りをおこなう処理業者(先ほどの例では、ガソリンスタンド)は一般廃棄物や産業廃棄物の処理業許可が必要とされるのでしょうか。
タイヤ交換の例では、古いタイヤを排出したのはガソリンスタンドではなく、ガソリンスタンドでタイヤ交換をした利用者側(お客様側)です。
そのため、それまで古いタイヤを使用していた企業または一般の方が排出事業であり、それぞれ産業廃棄物または一般廃棄物になるとも考えられます。
となると、ガソリンスタンドが廃タイヤを下取りし処理をするためには、一般廃棄物または産業廃棄物の処分業の許可が必要になるように思われます。
産業廃棄物に該当すれば、お客様はガソリンスタンドと処理委託契約を締結したり、マニフェストを交付しなければならなくなります。
下取り行為に該当するための4つの条件
しかし、実際には、お客様は単にタイヤの交換をおこなうだけであり、廃タイヤについてはガソリンスタンドが排出事業者として適正な処理をおこなうことが一般的です。
環境省も通知において、新しい商品を販売する際に、同種の製品で使用済みのものを無償で引き取る「下取り」行為について、次の4つの条件をすべて満たす場合には、その製品を収集運搬する行為について産業廃棄物収集運搬業の許可は不要になるとしています。
- 新しい商品を販売する際に引き取ること(時期)
- 引き取る製品は、販売する製品と同種の製品で使用済みであること(製品)
- 商慣習としておこなわれていること(行為)
- 引取は無償でおこなわれること(対価)
おこなわれた下取り行為が上記の4つの条件にすべて該当すれば、引き取った不用品の運搬や処理について処理業の許可は例外的に不要となります。
4つの条件の1つにでも該当しない場合には、例外的に許可が不要とされる下取り行為とは認められないので、下取りをおこなう事業者(ガソリンスタンド)は廃棄物の収集運搬などについて処理業の許可が必要となります。
下取り後の製品が廃棄物となった場合には、下取りをおこなった事業者(ガソリンスタンド)が排出事業者として適正に処理をおこなう必要があります。
下取りされた製品をさらに別の事業者(例えば廃タイヤ回収業者)に下取りをすることは、たとえ4つの条件をみたしていても認められません。
廃棄物の処理委託として、別の事業者は処理業の許可が必要となります。