所得拡大促進税制|従業員の給与を増加させると一部が税額控除される制度が改正・延長されます

所得拡大促進税制とは
所得拡大促進税制とは、従業員への給与を増加させた中小企業について給与の増加額の一部を法人税や所得税から税額控除するという制度です。
個人所得の増加を図り経済成長を促すために企業の給与支給額を増加する目的で創設された制度です。
この所得拡大促進税制は従来からある制度ですが、令和3年4月1日から令和5年3月1日までの間に開始される事業年度にも適用され、また適用されるための要件も簡素化されました。
所得拡大促進税制について見直された点とは
現行の所得拡大促進税制と令和3年度からの改正された所得拡大促進税制との比較を表にまとめてみました。
現行制度 | 令和3~5年度 | |
通常要件 | ①継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上 ②給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度以上 | 給与等支給総額(企業全体の給与総額)が前年度比で1.5%以上 |
上乗せ要件 | 継続雇用者給与等支給額が前年度比で2.5%以上であり、次のいずれかを満たすこと ①教育訓練費が対前年度比10%以上増加 ②中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており経営力向上が確実になされていること | 給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度比2.5%以上であり、次のいずれかを満たすこと ①②は同左 |
従来の制度と比較して変わった点といえば、継続雇用者の給与支給額の比較という要件が無くなったということです。
従来の制度では雇用の維持にも重点が置かれていたため、企業全体で雇用の増進を図り従業員全体の給与が増えたとしても、継続雇用している従業員の給与が増えなければ、税額控除を受けられないとされていました。
このような制度のもとでは企業が積極的な雇用拡大を図ったとしても税制上のメリットを受けることができない場合があるため、雇用促進を図る企業がメリットを感じられない制度となっていました。
そこで継続雇用している従業員の給与増という条件をなくし、企業による雇用確保・従業員の給与増を図り内需の拡大を狙ったものが令和3年度以降の所得拡大促進税制の特徴といえます。
所得拡大促進税制のメリット
通常要件をみたした場合には給与等支給総額の増加額の15%、上乗せ要件をみたした場合には給与等支給総額の増加額の25%の税額控除を受けることができます。
ただし法人税額の20%が控除額の上限とされています。