帳簿類の保存期間と建設業許可の証明期間について

専任技術者となるための10年の実務経験期間の証明をする際に困ることの1つとして、疎明資料となる法人税の確定申告書がそろわない事があります。
(法人税の確定申告書の事業種目欄に許可をとりたい申請業種の記載があると実務経験を証明することができ、これを10期分そろえると専任技術者の実務経験10年を証明することができます)
この法人税の確定申告書について、税法上の保存期間(7年)を過ぎた分を処分してしまっていたり、税務署で遡って情報開示請求をできるのが7年前までだったりで、8~10年前のものを集めることができないことがよくあります。
「7年の壁」と勝手に命名しています。
しかし、会社法では会計帳簿の保存期間は10年とされています。
もちろん(一部は重なるものの)税法と会社法とでは保管するべきとされている帳簿類は異なります。
しかし、事業者様からお預かりする法人税確定申告書ファイルのなかには会社法で10年保管すべきとされている貸借対照表、損益計算書が含まれています。作成後7年を過ぎると税法上の書類のみ破棄し、会社法上10年保存すべきとされている貸借対照表等を残すといった対応をしているわけではないと思います。7年を過ぎると申告書ファイル一式を物理的に処分してしまっているものと思われます。
保管期間とは異なりますが、個別注記表が含まれていないファイルを受け取ったことも何回かあります。事業者様を通じて個別注記表を依頼したところ、そのような書類は毎年作成していない、不要との回答を受けたこともあります。
会社計算規則では記載することが定められていますが、税務申告に際しては作成不要で問題ないのでしょう。
会社法上の保管期間(10年)を遵守していれば、確定申告書も10年間は保管されることとなり、専任技術者の実務経験の証明に困ることも少なくなるのではないかと思いました。
今後は電子保存、ペーパレス化によってこのような事態は減るのかもしれません。