建設業許可を取得することが必要な場合とは

建設業許可を取得するためには、必要な条件をクリアーしたうえで膨大な資料を集めたり書類を作成する必要があります。

そのため、建設業許可を取得しないで済むのであれば、それに越したことはありません。

この記事では、建設業許可を取得しなければならない場合について詳しく解説をしています。

建設業許可の取得を検討しているけれど自社で工事を施工する場合に必ず必要なのか、建設業許可を取得するように元請業者に求められているけれど本当にとらなければいけないのか、そのような疑問をお持ちの方は以下の記事をご覧ください。

建設業許可を取得しなければならない場合 その1 原則

建設業許可を取得しなければならない場合とは、どのような場合でしょうか?

建設業法第3条本文では、次のように規定されています。

建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない

この建設業法第3条が規定するように、建設業を営もうとする者は、原則として建設業許可を取得しなければなりません。

元請業者であるか下請業者であるか、株式会社などの法人であるか個人事業主であるかにかかわりません。

  • 元請業者(元請負人)とは、建設工事の発注者から直接、工事を請け負う建設業者のことをいいます。
  • 下請業者(下請負人)とは、元請業者から建設工事の一部を請け負う建設業者のことをいいます。2次以降の孫請け業者も下請業者に含まれます。

もっとも、建設業法第3条但書では、次のように規定されています。

ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない

このように「軽微な建設工事」のみを請け負うのであれば、建設業許可を受ける必要はありません。

では、「軽微な建設工事」とは、どの程度の規模の建設工事なのでしょうか。

軽微な建設工事とは

「軽微な建設工事」とは、次のような建設工事です。

原則:1件の建設工事の請負金額が500万円未満の建設工事

ただし、建築一式工事については、次のいずれかが「軽微な建設工事」とされています。

  • 1件の建設工事の請負金額が1,500万円未満の工事
  • 木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事

以上のような工事だけを請け負うのであれば、「軽微な建設工事」として建設業許可を受けることなく施工することができます。

木造住宅工事とは

このように150㎡未満の木造住宅工事であれば、建設業許可を取得することなく請け負うことができます。

ここでいう「木造住宅工事」とは、次のような工事をいいます。

木造住宅工事とは:主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住用とするもの

例えば、150㎡未満の木造住宅工事でも、店舗兼住宅といった建物であれば、店舗部分が1/2以上を占める木造建物の工事であれば「軽微な建設工事」には該当しないため、建設業許可を受けることが必要となります。

そもそも「建設業」や「建設工事」に該当しないのであれば、建設業許可を受ける必要はありません。
建設工事に該当する場合、しない場合については次の記事をご覧ください。

建設業許可を取得しなければならない場合 その2 公共工事への入札

公共工事を受注するためには、経営事項審査という手続きを経てから入札参加資格を得る必要があります。

この経営事項審査を受けるためには、建設業許可を取得して毎年の決算報告届を提出していることが前提となります。

そのため、入札に参加して公共工事を受注しようとする建設業者も、建設業許可を受ける必要があります。

建設業許可を取得しなければならない場合 その3 技能実習生や特定技能外国人の受け入れ

建設業者が技能実習生や特定技能外国人といった外国人労働者を受け入れるためには、前提として建設業許可を受けることが必要とされています。

技能実習制度は国内技術の海外移転を目的に、特定技能制度は国内の労働力不足を補うために設けられた制度・在留資格ですが、これらの在留資格に有する外国人を就労させるためには建設業許可を受けることが必要とされています。

建設分野における技能実習制度(国土交通省)

まとめ

  • 500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の建設工事を請け負う場合には、建設業許可を受けることが必要です。
  • 公共工事を受注するために入札参加する場合にも、建設業許可が必要です。
  • 建設業者が在留資格「技能実習」や在留資格「特定技能」を有する外国人を受け入れるためには建設業許可が必要です。