純支払利息比率とは|経営状況分析の指標①の評点アップ対策

純支払利息比率とは
純支払利息比率とは、売上高に対して実質的な支払利息がどの程度の割合にあるのかを示す指標です。
純支払利息比率は一般的に財務状況の健全性を示す指標で、この比率が少なければ少ないほど支払利息額が少ないことを意味し、良好な財務状況にあることになります。
純支払利息比率の計算式
純支払利息利率は、次の計算式によって求めます。
純支払利息比率の計算式
純支払利息比率(%)=(支払利息-受取利息配当金)÷ 売上高 × 100
- 分母となる売上高は、審査対象事業年度における完成工事高および兼業事業売上高の合計額です。
- 分子となる純支払利息額は、審査対象事業年度における支払利息から受取利息配当金をマイナスした額です。
- 会計基準の変更により支払利息に手形売却損(従前の割引利息)は含めないことになりました。
純支払利息比率と経営状況分析との関係
経営状況分析の指標 | 記号 | 寄与度 | 上限値 | 下限値 |
純支払利息比率 | x1 | 29.9% | -0.3% | 5.1% |
純支払利息比率とは実質的な支払利息が売上高に対してどの程度の割合にあるかを示す指標なので、比率が少なければ少ないほど財務状況は良いということになります。
経営状況分析との関係では、上限値が-0.3%、下限値が5.1%とされています。
仮に売上高が10億円規模の会社で純支払利息比率が下限値の5.1%であれば、1事業年度の支払利息は5,000万円ほどになります。
純支払利息比率が高いと、本来の営業活動で得られた利益(営業利益)が大幅に削られ1年間の営業活動が無意味となりかねません。
そのため純支払利息比率はできるだけ0(ゼロ)に近づけるような対策を取りましょう。
純支払利息比率の評点をアップさせるための対策
純支払利息比率を少なくするためには、実質的な支払利息額を減らすことが必要です。
◆ まずは次のような対策をおこない、借入金の総額を減して支払利息を減らすことが考えられます。
- 定期預金や積立といった固定預金を解約し、借入金の一括返済に充てる
- 投資有価証券や土地など経営活動に直結していない遊休資産を売却し、借入金の一括返済に充てる
- 過剰となっている材料などの棚卸資産(在庫)や死蔵在庫を売却し、得られた資金を借入金の一括返済に充てる
- 増資をおこない、得られた資金を借入金の一括返済に充てる
◆ その他にも次のような対策が考えられます。
- 公的資金など低利の融資に借り換えをおこない、支払利息額を減らす
- 支払利息に受取手形割引料が含まれていないかを確認し、含まれていれば手形割引料を「手形割引損」に振り替えて支払利息額を減らす
- 長期借入金にかかる信用保証協会の保証料の全額を支払期の支払利息に経常している場合、翌期以降に対応する保証料額を「前払費用」に振り替えて支払利息額を減らす