営業キャッシュ・フローとは|経営状況分析の指標⑦の評点アップ対策

営業キャッシュ・フローとは

キャッシュ・フローとは、企業の現金創出能力を判断する指標で、企業の資金収支が健全であるかどうかを示す指標です。

従来は、貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)だけを用いて企業の財政状態を判断してきましたが、財政状態や経営状況が良いにもかかわらず資金繰りが悪化して倒産(いわゆる黒字倒産)する企業の財務状況を、BS・PLだけでは説明することができないという不都合がありました。

そこで、このような企業の資金収支の健全性を合理的に説明できる指標として、キャッシュ・フロー計算書が用いられることとなりました。

キャッシュ・フロー計算書によれば、売上高が増えて利益が計上されていても、見せかけの売掛債権(回収不能の不良債権)であれば、未収の売掛債権が増える一方で、企業に入金がなく資金繰りが圧迫されているということを説明することが可能になります。

営業キャッシュ・フローの計算式

営業キャッシュ・フローは、以下の計算式によって求めます。

営業キャッシュ・フローの計算式
営業キャッシュ・フロー = 営業キャッシュ・フロー(2期平均)÷ 1億

 

営業キャッシュ・フローは以下の式によって求めます。

 + 経常利益
 + 減価償却費
 ± 引当金
 - 法人税・住民税および事業税
 ± 売掛債権
 ± 支払債務
 ± 棚卸資産
 ± 受入金

営業キャッシュ・フローと経営状況分析との関係

経営状況分析の指標記号寄与度上限値下限値
営業キャッシュ・フローx75.7%15.0億円-10.0億円

 

営業キャッシュ・フローは、2つある経営事項審査おける絶対的力量指標のうちの1つです。

営業キャシュ・フローの評点アップ対策

対象となる項目評点アップ 要因評点ダウン 要因
経常利益多いこと少ないこと
減価償却費多いこと少ないこと
引当金増加していること減少していること
法人税、住民税、事業税(還付金)算出税額
売掛債権減少していること増加していること
仕入債務増加していること減少していること
棚卸資産減少していること増加していること
受入金増加していること減少していること

① 経常利益

経常利益が多ければ多いほど企業は多くの利益を獲得するため、資金の増加要因となります。

そのため経常利益が多いほど、評点アップにつながります。

② 減価償却費

例えば、1,000万円の減価償却の対象となる資産を現金で購入した場合、購入時に1,000万円の現金が支出されますが、よく事業年度は現金が支出されないにもかかわらず減価償却費が計上されます。

このように減価償却費とは、実際に現金支出を伴わない費用計上されるものなので、毎事業年度の減価償却費の分だけ現金が企業にストックされることになります。

そのため、減価償却費が多いほど企業内部に多くの現金が貯まることになり、評点アップにつながります。

③ 引当金

貸倒引当金とは、売掛金や受取手形の貸倒れによって将来、回収不能となる可能性のある額を前もって見積計上したものです。

貸倒引当金も減価償却費と同様に、計上された時点では現金の支出を伴いません。

そのため、損益計算書に費用計上されている貸倒引当金繰入額は、キャッシュフロー計算書との関係では加算されることとなり、貸倒引当金が多ければ多いほど評点アップにつながります。