建設業許可における大臣許可と知事許可の違いとは

建設業許可には「大臣許可」と「都道府県知事許可」という区分があります。

「大臣許可」と「都道府県知事許可」との違いは、1つの都道府県にのみ営業所があるのか、2つ以上の都道府県にまたがって営業所があるのかという違いです。

以下では、「大臣許可」と「知事許可」との区分や違いについて詳しくご説明していきます。

営業所の所在地による区分

1つの都道府県にのみ営業所を設けて建設業を営む場合には、「知事許可」が必要とされています。

これに対して、2つ以上の都道府県にわたって営業所を設けて建設業を営む場合には「大臣許可」が必要となります。2つ以上の都道府県に営業所が設けられていれば、営業所ごとの許可業種が異なっていても「大臣許可」となります。

例えば、神奈川県厚木市と神奈川県平塚市の2店というように神奈川県内にのみ複数の営業所がある場合には、神奈川県知事許可を取得することになります。

一方で、神奈川県と東京都に営業所がある場合には、大臣許可を取得することになります。

なお、同一の建設業者が「大臣許可」と「知事許可」の両方を取得することはありえません。

大臣許可の申請は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して、主たる営業所の所在地を管轄する国土交通省地方整備局長などに対しておこないます。

従来、大臣許可の申請は「主たる営業所の所在地がある都道府県知事を経由して」国土交通省地方整備局等に提出することとされていました(都道府県経由事務)。

現在はこの都道府県経由事務は廃止され、令和2年4月1日から国土交通省地方整備局長等に直接、申請することになりました。

工事を施工できる現場について

このように「大臣許可」と「知事許可」とは、営業所の所在地によって異なる建設業許可の区分です。

では、「大臣許可」と「知事許可」とでは、建設工事を施工できる現場に違いはあるのでしょうか?

「大臣許可」であれば日本全国どこの現場でも建設工事を施工できるけれど、「知事許可」であれば許可を受けた都道府県内の現場でしか建設工事を施工できないとも思えますが、そのような制約はありません。

建設工事を施工できる現場については「大臣許可」と「知事許可」による違いはなく、どの行政庁から許可を受けた場合でも、日本全国どこの現場でも建設工事を施工することができます。

例えば、神奈川県知事許可をうけた建設業者であれば、東京都はもちろんのこと北海道から沖縄県まで日本全国でこででも建設工事を施工することができます。もちろん大臣許可をうけた建設業者であれば日本全国で施工することができます。

なお、大臣許可をうけた場合と知事許可をうけた場合とで、請け負うことができる建設工事の請負金額について違いはありません。

許可替え新規申請について

現在、知事許可をうけている建設業者が他の都道府県にも営業所を設けようとする場合には、知事許可から大臣許可へと変更する申請手続きをおこないます。

この申請手続きを、許可替え新規申請といいます。

反対に、現在、大臣許可をうけている建設業者が営業所を減らして1つの都道府県内にのみ営業所を設けることとなる場合には、大臣許可から知事許可へと変更する手続きをおこないます。

この申請手続きも同じく、許可替え新規申請といいます。

知事許可から大臣許可に切り替える申請(許可換え新規申請の1つ)も、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して、国土交通省地方整備局長などに対しておこないます。は、経由事務の廃止にともない、直接、国土交通省地方整備局長などへ提出することになりました。