逆有償取引|到着時有価物とは

「逆有償取引」とは

逆有償取引」とは、「物の取引だけを見ると有価で売却されているが、その売却先への運搬費用等にかかるコストを加味すると売却側が全体として経済的損失を被る取引」のことをいいます。

このような取引は、排出物の取引に関する部分だけを見ると有償で取引がなされているため、有価物(廃棄物ではない)のようにも思われます。

しかし、排出者にとっては排出物を排出するほどコストが重なるという点で、取引全体をみると廃棄物と同様です。

廃棄物か有価物かを判断する際の総合判断説に基づいて判断すると、このような取引は一般的には廃棄物に該当すると判断されるでしょう。

→ 総合判断説とは

逆有償取引による排出物は一般的に廃棄物と判断されることが多く、排出事業者は廃棄物の処理を委託する際には廃棄物処理法における委託基準にしたがって、収集運搬の委託契約を締結したり、マニフェストを交付する必要があります。

「到着時有価物」とは

「到着時有価物」とは、「有価物の輸送費が売却代金を上回る場合に、排出事業場から処分先までの輸送中は廃棄物として扱い、処分先に引き渡された時点で有価物として扱われる排出物」のことをいいます。

このような到着時有価物について環境省の通知によれば、売却代金と郵送費を比較して排出事業者側が経済的損失を被る場合(逆有償取引)については、輸送段階では産業廃棄物に該当し、引取側に到着した時点で廃棄物に該当しなくなる場合があるとされています。

再生後に自ら利用または有償譲渡が予定される物であっても、再生前においてそれ自体は自ら利用または有償譲渡がされない物である場合は当該物の再生は廃棄物の処理であり、廃棄物処理法の適用がある

環境省「行政処分の指針について(通知)平成30年3月30日・環循期発第18033028号)

産業廃棄物の占有者(排出事業者等)がその産業廃棄物を、再生利用または電気、熱もしくはガスのエネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者へ引き渡す場合においては、引き渡し側が輸送費を負担し、当該輸送費が売却代金を上回る場合等当該産業廃棄物の引き渡しに係る事業全体において引き渡し側に経済的損失が生じている場合であっても、少なくとも、再生利用またはエネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者が占有者となった時点以降については、廃棄物に該当しないと判断しても差し支えない

環境省 平成25年3月29日・環廃産発第13032911号

到着時有価物であれば、引き渡された以降は有価物と判断されるため、廃棄物処理法の規制は適用されることがなく、処分の委託契約書の締結やマニフェストの交付は不要になります。