総資本売上総利益率とは|経営状況分析の指標③の評点アップ対策

目次
総資本売上総利益率とは
総資本売上総利益率とは、総資本(負債+純資産)に対する売上総利益=粗利の割合を示す指標です。
総資本売上総利益率は、投下した資本を用いてどの程度の売上総利益=粗利を生みだすことができたのか、全投下資本を用いてどの程度、効率的に利益を生みだすことができたのかという企業の収益性を示す指標です。
総資本売上総利益率が高ければ高いほど、効率的に投下資本を運用できているということになります。
総資本売上総利益率の算出方法
総資本売上総利益率は、次の計算式によって求めます。
- 総資本とは、貸借対照表における負債と純資産との合計額です。
- 分母となる総資本の額は、基準決算および基準決算の直前の審査基準日の2期平均額を用います。
- 総資本の額(2期平均)が3,000万円にみたない場合には、3,000万円に引き上げて計算します。
- 売上総利益とは、審査対象事業年度における売上総利益=粗利の額です。
- 売上総利益は、売上高(完成工事高 + 兼業事業売上高)から売上原価(完成工事原価 + 兼業事業売上原価)をマイナスして
総資本売上総利益率と経営状況分析との関係
経営状況分析の指標 | 記号 | 寄与度 | 上限値 | 下限値 |
総資本売上利益率 | x3 | 21.4% | 63.6% | 6.5% |
総資本売上総利益率とは、企業の資本収益性を示す指標で、経営状況分析のうち収益性・効率性指標のうちの1つとなります。
総資本売上総利益率は、上限値が63.6%、下限値が6.5%とされ、数値が大きければ大きいほど投下資本を効率的に用いていることになり、評点は高くなります。
なお、先のご説明したように2期平均の総資本額が3,000万円にみたない場合には、総資本額を3,000万円に引き上げて計算することになります。
総資本売上総利益率の指標を高くするためには、分母=総資本額を減少させることが必要になりますが、総資本額が3,000万円にみたない場合には実際の総資本額よりも引き上げられることになり、評点との関係では不利となってしまいますので避けたいところです。
総資本売上利益率の評点アップ対策とは
総資本売上総利益率は、指標が高くなればなるほど収益性が高いことを意味します。
総資本売上総利益率を高くするためには、①分母=総資本(負債+純資産)を減少させるか、②分子=売上総利益(粗利)を増加させることが必要になります。
総資本を減少させる対策
総資本とは、貸借対照表上の負債と純資産を合計した額になります。
一般的に純資産額が増えることは企業の健全性・安全性を高めることにつながりますので、経営事項審査・経営状況分析との関係では負債を減らすことがメインの対策となります。
負債を減らす対策としては、以下の対策が考えられます。
- 定期預金や積立といった固定預金を解約して、負債の返済にあてる。
- 投資有価証券や遊休地など経営活動に有効活用されていない資産を売却し、売却資産を負債の返済にあてる。
- 在庫を適正に管理し過剰な在庫や死蔵在庫を処分して、得られた資金を負債の返済にあてる
- 増資をおこない、得られた資金を借入金などの負債の返済にあてる
売上総利益=粗利を増加させる対策
分子となる売上総利益率=粗利を増やすためには、売上高を増やすことだけではなく、工事原価や売上原価を削減することが必要となります。
いくら売上高が増えたとしても、売上高の増加率以上に工事原価や売上原価が増えてしまえば売上総利益率(粗利益率)が悪化し収益性・効率性は低下してしまいますので、売上原価率(粗利益率)を抑える必要があります。