厚生年金保険・健康保険の適用対象者の拡大について(専任技術者の常勤性に関して)

専任技術者には常勤性がもとめられますが、常勤性を疎明する資料として健康保険被保険者証のコピーを提出します(住民税特別徴収税額通知書などでもよく、あくまで疎明資料の1つですが)。
では、フルタイムで勤務しない方でも専任技術者になれるのでしょうか。
結論からいえば、フルタイムで勤務していなくても健康保険被保険者証のコピーを提出することができれば、常勤性という条件をみたします。
そこで、フルタイムではない短時間労働者が厚生年金保険・健康保険に加入するための条件についてまとめてみました。
平成28年10月からの適用対象者
平成28年10月から、厚生年金保険・健康保険の適用対象者が拡大されました。
従来は週30時間以上の短時間労働者が対象とされていましたが、被保険者の総数が常時500人を超える事業所では週20時間以上という条件に変わり、適用対象者が拡大されました。

平成29年4月からの適用対象者
平成29年4月からさらに適用対象者が拡大され、被保険者の総数が常時500人以下の事業所でも、労使間の合意があれば、週20時間以上の短時間労働者もて適用対象とされました。

以上が、現行の適用対象者です。
令和4年10月、令和6年10月からの改正
事業所の規模が現行の常時500人超から100人超へ(令和4年10月から)、100人超から50人超へ(令和6年10月から)と順次、適用範囲が拡大されます。
労使合意がなくても週20時間以上勤務する従業員が適用対象となる事業所の範囲が、拡大されるということです。
また、適用対象となる従業員は「1年以上雇用されることが見込まれること」が条件となっていますが、令和4年10月の改正で雇用期間が「2ヶ月を超えて見込まれること」が条件となり、適用対象が拡大されることになります。

専任技術者との関係について
このように厚生年金保険・健康保険の適用対象者が拡大されると、定年退職後に短時間勤務を希望する方を専任技術者として迎え入れやすくなります。
少子高齢化の影響により若年層を専任技術者として確保することが年々、難しくなるため、社会保険の適用対象者の拡大は、建設業許可の取得・維持という点ではプラスの方向に働くことになります。