経営事項審査で加点される建設業の営業継続の状況とは

目次
経営事項審査における建設業の営業年数とは
建設業の許可を取得した時点から審査基準日までの年数に応じて、経営事項審査の総合評定値(P点)に加点されます。
具体的には、W点(その他の審査項目・社会性等)に加点されます。
営業年数が35年以上の場合には最高点の600点(総合評定値=P点換算後は86点)が加点され、営業年数が5年以下の場合には0点、つまり加点がされません。
◆年数を数える場合には、以下のルールに従います。
- 1年未満の端数がある場合には、端数を切り捨てる
- 建設業許可の更新を怠った等により無許可の期間がある場合には、その期間をカウントしない
- 営業停止処分を受けた期間がある場合には、その期間を営業年数にカウントしない
- 民事再生手続または会社更生手続の開始決定を受け、その後、再生手続または更生手続が終結した場合、終結の決定を受けた時点から営業年数をカウントする
◆以上をまとめると、下記の期間を営業年数にカウントすることはできません。
- 建設業許可を取得する前の期間
- 建設業許可が切れていた期間
- 営業停止処分を受けていた期間
- 再生手続の終結決定を受ける以前の期間
法人成りをした場合に営業期間が引き継がれるための条件
個人事業主が新設法人を設立した場合(法人成り)でも、次の一定の条件をみたせば営業年数を通算してカウントすることができます。
- 営業の同一性を失うことなく組織変更をおこなったこと
- 個人事業主が新設法人の代表取締役となること
- 個人事業主が新設法人の支配株主(※)となること
- 個人事業主が新設法人の常勤役員等(従来の経営業務の管理責任者)になること
- 個人の建設業許可の有効期間内に新設法人の建設業許可申請をしていること
※支配株主とは、発行済み株式の半数以上を所有する株主のこと
民事再生法または会社更生法の適用がある場合
平成23年4月1日以降に再生手続開始の決定または更生手続開始の決定を受け、かつ、審査基準日までに再生手続終結または更生手続終結の決定を受けていない場合には、民事再生法または会社更生法の適用があるとされ、以下のように減点されます。
民事再生法または会社更生法の適用 | 点数 | P点換算 |
無し | 0 | 0 |
有り | ▲600 | ▲86 |
なお、民事再生手続や会社更生手続とは、経営的な危機に陥った事業者について事業活動を立て直し経営の再生を図ることを目的とする手続きです。
会社更生手続は株式会社だけが利用できるものですが、民事再生手続は株式会社以外の法人も利用することができるし、個人事業主も利用することができるという違いがあります。
民事再生手続や会社更生手続の開始決定を受けると営業年数の最高評点(600点)が減点されるため、営業年数の評点は0点になってしまいます。
さらに営業年数の評点から引ききれなかった分は、その他の審査項目(社会性等、W点)の評点全体から引かれてしまいます。
せっかく積み上げたその他の審査項目の評点(W点)にも影響を及ぼしますし、再生手続や更生手続が終結しても営業年数が0にリセットされてしまいますので、再生手続や更生手続は何としても避けたいところです。
建設業の営業継続の状況の評点アップのためにできる対策とは
営業年数を積み重ねることは一朝一夕にはできないので、評点アップのためにできる対策は多くありませんが、以下のような対策が考えられます。
- 合併する際には、建設業の営業年数が長い法人を存続会社とする。
- 個人事業から法人成りするときは、営業年数を引き継げるようにする。
- 民事再生手続または会社更生手続を受けることのないよう健全な経営をおこなう。