建設業法上の営業所とは

建設業許可には「大臣許可」「都道府県知事許可」という2つの区分があります

「大臣許可」と「知事許可」は、1つの都道府県内にのみ営業所があるのか、2つ以上の都道府県に営業所があるのか、という営業所の所在地によって区分されます。

そこで、どちらの区分の建設業許可を取得するのかを判断する前提として、そもそも建設業許可における「営業所」とはどのようなものであるのか、理解する必要があります。

こちらのページでは、建設業法上の「営業所」について詳しくみていきます。

建設業法上の「営業所」の定義

建設業法上の「営業所」とは、「本店、支店など建設工事の請負契約を常時締結する事務所」のことをいいます。

「建設工事の請負契約を常時締結する」とは、「請負契約の見積り、入札、契約締結の手続きなど契約締結にかかる実体的な行為を常時おこなうこと」をいいます。

このような営業所の定義から、建設業法上の「営業所」に該当するためには、少なくとも次の条件をみたしている必要があります。

  • 請負契約の見積り、入札、契約締結などの実態的な業務をおこなっていること
  • 上記に関する権限を付与された担当者が常時、勤務していること
  • 電話、机、事務台帳などを備えた事務室が設けられていること
  • 専任技術者が常勤していること
  • 代表者の自宅を営業所として兼用している場合には、事務室部分と居住スペースが明確に分かれていること

複数の営業所があるときは、建設業を営む営業所を統括して指揮監督する権限を有する営業所を「主たる営業所」、その他の営業所を「従たる営業所」といいます。

建設業許可申請における営業所の注意点

建設業法上の「営業所」については、次の点に注意してください。

  • 請負契約を常時締結する事務所ではなくても、他の事務所に対して請負契約に関する指揮監督をおこなっているなど建設業に関する営業に実質的に関与していれば、建設業法上の「営業所」にあたります。
  • 契約書上の名義が本社や本店の社長・部長などの名義であっても、実質的に契約締結がおこなわれている事務所であれば、建設業法上の「営業所」にあたります。
  • 公共工事においては発注者の管轄区域内に営業所を設けていることが公共工事の入札参加資格となっていることが多くあります。公共工事への入札を検討している建設業者様は、営業所の所在地が重要となってきます。

建設業法上の「営業所」に生じる義務

建設業法上の「営業所」に該当すると、次のような義務が生じます。

  • 営業所ごとに許可を受けた業種に対応する専任技術者を配置する必要がある。
  • 営業所の代表者は、建設業法施行令第3条に規定する使用人(いわゆる令3条の使用人)として、契約締結などの権限を委任されていること、常勤であることが必要です。
  • 営業所には、帳簿の備え付けと保管の義務があります。
  • 営業所の事務所には、建設業許可の許可標識を掲示する義務があります。

建設業法上の「営業所」に当たらないケース

次のような施設や事務所は、建設業法上の「営業所」に該当しません。

  • 単なる登記上の本店
  • 事務連絡所
  • 作業所
  • 資材置き場

このような施設や事務所には建設業法上の「営業所」としての義務が生じません。

設置にあたり届出をしたり、専任技術者を配置する必要はありません。