委託基準|排出事業者が産業廃棄物の処理を委託するときに守らなければならないルールとは

委託基準とは

排出事業者が自ら排出した産業廃棄物の処理を、産業廃棄物処理業者に委託する場合には一定のルールを守る必要があります。

このような排出事業者が守るべきルールを委託基準といいます。

産業廃棄物を自ら処理することができない排出事業者は、産業廃棄物処理業の許可をもつ処理業者に処理を委託する必要がありますが、排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際は、「委託基準」という一定のルールに従って処理を委託しなければなりません。

委託基準の具体的な内容としては、主に以下の4点があります。

  1. 適法な委託先の選定
  2. 委託契約書の作成
  3. マニフェストの交付・運用
  4. 委託契約書とマニフェストの保存

1~4の具体的な内容について、それぞれご説明していきます。

適法な委託先の選定

産業廃棄物の排出事業者が産業廃棄物を自ら処理することができない場合には、まず適法な産業廃棄物処理業の許可をもった処理業者を選定し委託する必要があります。

産業廃棄物処理業の許可をもっている処理業者でも、排出事業者が排出する産業廃棄物の種類にふさわしい許可をもった処理業者を選ぶ必要があります。

例えば、産業廃棄物収集運搬業の許可は産業廃棄物の種類ごとにあたえられるものなので、排出しようとする産業廃棄物が「紙くず」であれば、「木くず」の許可をもっている産業廃棄物収集運搬業者に委託することはできません。

必ず「紙くず」の収集運搬業許可をもっている産業廃棄物処理業者に委託しなければなりません。

産業廃棄物処理委託契約書の締結・作成

適法な委託先を選定したら、排出事業者は産業廃棄物処理業者との間で産業廃棄物処理委託契約を締結し、委託契約書を作成する必要があります。

通常の契約締結であれば、原則として当事者間の意思の合致のみで成立するとされています(諾成契約の原則)。

しかし、産業廃棄物処理委託契約については、排出事業者と産業廃棄物処理業者との間において、委託契約書という書面の形で契約を結ぶことが必要とされています。

このように産業廃棄物処理委託契約が書面によることとされているのは、処理を委託したという事実の存在や、産業廃棄物の処理方法などの処理委託契約の内容を明確にする必要があるからです。

排出事業者が産業廃棄物の収集運搬業者、中間処理業者のそれぞれと契約を締結する必要がある場合には、次のように2当事者間で別々の契約を締結する必要があります。

  • 排出事業者と収集運搬業者
  • 排出事業者と中間処理業者

もっとも、収集運搬業者と中間処理業者が同じ業者であるときは、1部の契約書のみで契約することができます。

マニフェストの交付・運用

排出事業者が産業廃棄物処理業者と産業廃棄物委託契約を締結・交付をした後、実際に産業廃棄物の処理を委託する際には「マニフェスト」といわれる伝票を発行し、産業廃棄物とマニフェストを一緒に引き渡します。

マニュフェストには運用ルールが定められているので、産業廃棄物の処理を委託する際はこのマニフェストの運用ルールに従う必要があります。

例えば、マニフェストは産業廃棄物の種類ごと、運搬先ごとに交付しなければならないとされています。

また、マニフェストの交付を受けて、収集運搬や処理を請け負った処分業者は、委託された処分が終わった時点でマニフェストの必要部分を排出事業者に返送します。

マニフェストを交付、返送することにより、収集運搬、中間処理、最終処分という各プロセスについて産業廃棄物の処理が適正におこなわれたかを排出事業者が確認します。

このようにマニフェストを運用することにより、産業廃棄物の不法投棄や不適切な処理を未然に防ぐよう努めています。

産業廃棄物処理委託契約書とマニフェストの保存

産業廃棄物の処分が終了した後は、産業廃棄物処理委託契約書を契約終了の日から5年間、保存する必要があります。

また、産業廃棄物処理業者から返送されてきたマニフェストは、返送のときから5年間、保存する必要があります。