どのような発注者の承諾があれば一括下請負が許されるのでしょうか

一括下請負の禁止と例外について
建設業者は請け負った建設工事について一括して他人に請け負わせてはならず、建設業を営む者は、他の建設業者からその建設業者が請け負った建設工事を一括して請け負ってはならないとされています(建設業法第22条第1項第2項)。
このことを「一括下請負の禁止」といいます。
もっとも、民間工事については共同住宅の新築工事を除いて、元請負人があらかじめ発注者から一括下請負に付することについて書面による承諾を得ている場合には、一括下請負も許されるとしています(同法第22条3項)。
なお、公共工事については一括下請負が全面的に禁止されています。
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一括下請負が認められる「発注者の承諾」とは
一括下請負の禁止の例外が認められる「発注者の承諾」については、以下①~⑤について注意する必要があります。
- 必要とされる承諾は、「発注者(=最初の注文者)」の承諾です。他の者から建設工事を請け負った者(=元請負人)ではありません(建設業法第2条第5項)。
- 承諾は「書面」による必要があります。
- 承諾を得る必要があるのは「元請負人」です。2次下請では、一括して再下請に付する元請負人(=1次下請の下請負人)が承諾を得る必要があります。3次下請以降も同様です。
- 承諾は、一括下請負に付する前に「あらかじめ」得ておく必要があります。
- 発注者の書面による承諾に定めらた様式はありません。しかし、工事請負契約書に予め一括下請負に対する承諾を盛り込んでおくと一括下請負に対する承諾が明確になされないため、工事契約書に記載する方法ではトラブルに発展する可能性が高いといえます。一括下請負に付する時点で、発注者の承諾の意思表示が明確に確認できるように、工事請負契約書とは別の書面を作成・交付し発注者の承諾を明らかにすることが望ましいといえます。