建設業許可申請でチェックされる5つの定款の記載事項とは
建設業許可を新規に取得しようとする際には、多くの書類を集めて提出することが必要です。
その中の1つとして、法人であれば定款のコピーを提出することが必要とされています。
株式会社や合同会社であれば会社を設立する際に定款を作成しますが、建設業許可を申請する際には、ただ単に提出するだけでは不十分です。建設業許可を申請する際には、定款の内容までチェックする必要があります。
定款の記載事項で特に気をつけたい5つの項目について、以下で解説しています。
定款とは
定款とは、会社を運営していくうえでの根本的なルールを定めたものです。
具体的に定款には、商号(名称)や目的(事業の目的)、本店所在地、役員に関する事項、事業年度などを定めます。
株式会社の場合には、作成した定款を公証役場で公証人に認証してもらうことで、定款としての効力が認められることになります。
合同会社・合資会社・合名会社では、定款の認証は必要とされていないので、公証人の認証をうけなくても定款の効力が認められます。
目的
定款には、事業の目的を記載することとされています。法人として何をおこなうことが目的であるのかを定めたのが、事業の目的です。
この事業目的に、これから許可を受けようとする建設業・建設工事に関連する項目が含まれていることが必要とされています。
例えば、管工事業の許可をうけたいのであれば「管工事」「管工事業」」「管工事の請負」「管工事の施行」などといった文言が記載されていることが必要です。
もっとも、定款の事業目的に許可を受けようとする建設工事に関連するものが含まれていない場合でも、申請が全く受け付けてもらえないというわけではありません。
「今後、定款を変更して許可を受けようとする建設工事に関連する目的を追加します」という内容の申立書を提出することにより、建設業許可の新規申請を受け付けてもらうことができます。
役員の任期
定款には役員の任期を記載します。
例えば「取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の集結の時までとする」などと記載します。
このように定款に記載されているにもかかわらず、履歴事項全部証明書(商業登記簿)に記載されている就任日から2年以上経っていると、重任されていないと判断されてしまいます。
重任とは、任期満了により退任した役員が退任と同時に再選されることです。重任の登記がされていないと、履歴事項全部証明書(商業登記簿)に記載のある役員が現在も役員に就任しているのか、それとも退任したの明確ではありません。
このような場合には、重任の登記をすませてから履歴事項証明書(商業登記簿)を取得しなおすか、役員の任期を10年等に伸長する株主総会決議の議事録を添付する必要があります。
※履歴事項全部証明書(商業登記簿)も提出書類の1つとされています。
役員の人数
定款には、役員の人数を記載します。
例えば「当会社の取締役は3名以下とする」などと記載します。
このように定款に記載された役員の人数と、履歴事項全部証明書(商業登記簿)に記載されている役員の数が異なるときは、定款に記載されている役員の人数を変更した株主総会議事録を添付する必要があります。
本店の所在地

定款には、株式会社など法人の本店所在地を記載します
例えば「当会社は、本店を神奈川県厚木市に置く」などと記載します。
このように定款に記載した本店所在地と履歴事項全部証明書(商業登記簿)に記載された本店所在地が異なるときは、本店所在地を変更した株主総会議事録を添付する必要があります。
ちなみに、定款に記載する本店所在地については地番までの記載までは必要ではなく、最小行政区画(市区町村)までで足りるとされています。
先ほどの「本店を神奈川県厚木市に置く」という記載例が最小行政区画までの記載にとどめた例ですが、このように記載した場合で同一の市区町村内(例えば神奈川県厚木市内)での本店移転であれば、株主総会を開催して定款を変更する必要はありません。
このように定款を変更する必要がない場合には、取締役会の決議(取締役会非設置会社であれば取締役の決定)があれば、本店を移動することができます。
このようなケースでは、当然のことですが、本店が移転していたとしても株主総会議事録を提出する必要はありません。
事業年度
定款には事業年度を記載します。
例えば「当会社の事業年度は毎年4月1日から3月31日までの年1期とする」などと記載します。
建設業許可申請をするにあたっては、下記の書類を提出する必要がありますが、これらの書類は事業年度ごとに作成するものです。
- 財務諸表(決算書類)
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
定款記載の事業年度とこれらの書類に記載した事業年度にズレがあれば、どちらかの事業年度の記載に誤りがあるということになります。
工事経歴書や直前3年の工事施工金額に記載された事業年度が誤っていれば訂正するだけで済みます。多くはこのパターンでしょう。
ごくまれに定款記載の事業年度を後から変更している場合もあります。
その際は、事業年度の変更を決議した株主総会議事録を添付する必要があります。
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