請負代金の出来高払いや竣工払いを受けたときの下請代金の支払日に関するルールについて

 

下請代金の支払日については、元請負人と下請負人との契約によって定めればよいことのように思われます。

しかし、注文者から元請負人に工事代金が支払われたにもかかわらず、元請負人から下請負人への下請代金の支払いがいつまでもされないと、下請負人の資金繰りは苦しくなって下請負人の経営が不安定になりかねません。元請負人の経済的状況によっては、本来は下請負人に支払われるべき工事代金が他に流用されてしまうおそれもあります。このような事態を無制限に許せば、下請負人の手抜き工事や労災事故にもつながりかねません。

そこで、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護することを目的とする建設業法においては、下請代金の支払日に関して次のようなルールが定められています。

元請負人は、請負代金の出来高払いまたは完成払いを受けた時は、その支払の対象となった工事を施工した下請負人に対して、支払いを受けた日から1ヶ月以内に、かつ、できるかぎり短い期間内に、相応する下請代金を支払わなければなりません(建設業法第24条の3第1項)。

なお、特定建設業者には下請代金の支払期日について、下請負人を保護するためにより厳しいルールが定められています。

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なお、下請代金の支払いについて「月末締めの翌月末払い」という契約が定められている場合には、上記のルールに抵触するおそれがあります。

例えば、2021年4月1日に発注者から元請負人に出来高払いがされた場合、「月末締めの翌月末払い」という契約によれば、下請代金については4月30日締め → 5月31日払いということになり、出来高払いの支払いを受けた日から1月を超えて下請代金が支払わることになるからです。